快適性とエコを追求する日本の住まい 2回目
高性能住宅の現状とその未来
日本の住宅市場において、高性能住宅はまだ一般的ではありません。
その理由は多岐にわたりますが、主なものは消費者がその価値を十分に理解していないことにあります。
高断熱・高気密住宅は、冬は暖かく、夏は涼しいという明確な利点があります。
しかし、これらの住宅が提供する快適さやエネルギー効率の高さは、しばしば見過ごされがちです。
快適な冷房を実現するためには、建物の躯体をしっかりと断熱・気密にし、十分な風量の冷気を家中に循環させることが重要です。
また、人に直接冷気が当たらないようにすること、湿度を考慮に入れることも忘れてはなりません。
高性能住宅が市場で広く受け入れられていない一因は、その「驚き」を消費者に提供できていないからです。
高性能住宅のメリットを明確にし、消費者にその価値を理解してもらうことが必要です。
低断熱・低気密住宅は、不快で不健康な環境を生み出す元凶となり得ます。
断熱が不足していると、熱負荷が増大し、暖房費も高額になります。また、気密が不足していると、冷気が下から流入し、暖気が上から流出し、床下の冷気が侵入するため、床表面や足元が冷たくなります。
夏の暑さに対処するためには、通風を重視した設計がかつては有効でしたが、現在では高断熱・高気密設計による冷房が前提となっています。
内部発熱は冷房熱負荷になるため、断熱や日射遮蔽をいくら強化しても、冷房を完全には不要にはできません。
壁掛けエアコンのような冷房装置は、直接冷気が当たることで不快感を与えることがあります。また、一台のエアコンでは部屋全体の温度ムラを解消することは難しいのです。
熱帯夜には、通風重視の住宅では不健康で不快な環境となります。
冷房なしでは生活できない時代になっており、特に梅雨明けの暑い時期には、ためらわずにエアコンを使用することが推奨されます。
エアコンが涼しさを提供できない理由は、低断熱住宅では室内が高温になり、冷房熱負荷が大きくなるからです。
エアコンがかなり冷たい空気を吐き出すことが、不快感の原因になることもあります。