ヒートショックの危険性と対策
今回は、寒い浴室等でのヒートショックの危険性と対策についてお話ししたいと思います。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧や心拍数が変動し、心臓や脳血管に負担がかかることで起こる健康障害です。ヒートショックは、冬場に暖房の効いた部屋から寒い外気に出たり、逆に暖かい部屋に入ったりすることで起こりますが、特に浴室でのヒートショックは危険です。
浴室では、裸なので体温調節が難しくなります。また、浴槽に入ったり出たりすることで血圧が上下することもあります。さらに、浴室は滑りやすく、転倒や溺水のリスクも高まります。ヒートショックによって失神や心筋梗塞、脳卒中などを起こすと、命を落とす可能性もあります。
厚生労働省によると、死亡者の約8割が65歳以上の高齢者でした。高齢者は体温調節能力が低下し、血管や心臓の機能も衰えるため、ヒートショックに弱いと言われています。
では、どうすれば浴室等でのヒートショックを防ぐことができるでしょうか?
以下にいくつかの対策をご紹介します。
- 住宅の断熱リフォームや高断熱高気密で高性能なエコハウス・省エネ住宅の新築などで、浴室とその周辺の温度差を小さくすることです。
例えば、断熱性や気密性の高い窓やドアを設置したり、換気扇や暖房器具を工夫したりすることで、浴室内外の温度差を緩和することができます。 - 浴槽の水温を適切に設定することです。一般的には38~40度程度が適温とされていますが、体調や体感温度に合わせて調整してください。水温が高すぎると血圧が上昇しやすくなりますし、低すぎると体温が下がりすぎてしまいます。また、入浴前には水分補給をしておきましょう。脱水状態は血液の流れを悪くし、ヒートショックを引き起こしやすくします。
- 入浴時間を長くしすぎないことです。入浴時間が長いと体温が上昇しすぎたり、血圧が下がりすぎたりすることがあります。特に高齢者は体温調節能力が低下しているため、入浴時間は10分程度に抑えることが望ましいです。また、入浴後はゆっくりと立ち上がり、体を拭いてから着替えましょう。急に動くと血圧が変動しやすくなります。
- 一人で入浴しないことです。もしヒートショックによって意識を失ったり、転倒したりした場合、一人では救助を求めることができません。可能な限り家族や介護者などの付き添いをしてもらうか、もしくは入浴中に声をかけ合ったり、ドアを開けておいたりすることで、異常に気づきやすくすることが大切です。
以上、寒くなってきた浴室等でのヒートショックでの死亡の危険性と対策についてお話ししました。ヒートショックは誰にでも起こりうる健康障害ですが、適切な対策を行うことで予防することができます。
冬場の入浴は気持ちが良いものですが、安全に注意して楽しみましょう。
【新住協 Q1.0住宅マスター会員 (有)TOMO設計コンサルタント】