換気システムは何が良いか

以前のブログでもお約束していましたし住宅相談でも換気についてのご質問が多かったので、今回は換気システムのお話をしたいと思います。長くなります。(笑)

TOMO設計では、第1種熱交換換気システムのメリットとデメリットをご説明してから、採用するか決めてもらっています。(詳しいことは住宅相談でお話しております)
そして欠点を克服する仕掛けを施した第3種セントラル換気システムかまたは、第1種熱交換換気かを決めて頂いています。欧州の先進的システムを取り込んだ製品が出てくれば、また検証の上でおすすめは変わります。

最近は、ハウスメーカーやビルダーも第1種熱交換換気をすすめている所が多いらしいです。これには、施工側の事情がかなり影響していると思っています。これを導入すると施工費用を上げることができます。
第1種熱交換換気は給排気を機械で行うため、給排気の機械そしてそれらをつなぐダクト、熱交換器が必要になります。排気のみを機械で行う第3種換気と比較すると、単純に倍のコストがかかってしまいます。また、40坪を超える家に設置する場合には2台必要になってくる場合もありますので、家が大きければ大きいほど負担も増えてしまうでしょう。

さらに第1種熱交換換気を入れるとQ値の性能を上げることができます。(Ua値は換気の熱損失は計算しません。Ua値だけでは、年間暖冷房費や快適性はわかりません)

熱交換換気を入れるだけで、断熱性能はそれほどでもないのにQ値の性能が大幅に向上します。(笑)
高性能エコハウスにするには、まずは断熱性能を高めることに工事費用をかけるのが最初にすることだと思います。
高性能窓や付加断熱いわゆる躯体の断熱性能を良くすることは劣化も少なく長く性能を維持してくれます。予算上取捨選択が必要なときは熱交換システムでは無いのではと思います。
第1種熱交換は今後ずっとメンテナンスに付き合っていかなければなりません。メンテ忘れると熱交換効率が下がるだけでなく、空気質も一気に悪化します。特に虫嫌いな方はやめておいた方が賢明です。

スウェーデンでは、熱交換換気システムが普及してから問題が発生しました。メンテナンスを行わなかったので空気質の悪化が多く出たために、ダクトの清掃や機器メンテなどが強化されたそうです。そして第3種換気も進化してまた増えているそうです。排気熱をヒートポンプに取り組んだ製品などやエコキュートに補助熱として組み込んだものもあるようです。

給排気を機械で行うので、第1種換気は気密性能を上げなくても大丈夫なシステムです。
その反対に第3種換気は、最低でもC値1. 0以下にしたいところです。排気のみの機械なので、給気孔以外からの余計な流入は排除しないと計画換気がうまくいきません。施工と気密のチェック能力が必要です。

第1種換気の熱交換効率は、実際の家で使用した場合の効率ではないらしいです。
熱交換器のすぐそばで測定されている、測定した方法が記載されていないケースが多いようです。 さらに、浴室やトイレの排気が熱交換器に接続されてなく除外されているケースがほとんどです。つまり熱交換されていません。
これには理由があり、全熱交換の場合には汚染空気と新鮮空気の混合が危惧されます。これを完全に防ぐには顕熱交換が良いのですが、寒冷地では結露が避けられず結露水除去が必要です。さらに寒いところでは、ヒーターで結露を防ぐシステムが備わったものが必要です。

第1種熱交換換気では、夏季にエアコンがサーモオフしてしまい、部屋は冷えているのに湿度が下がらず非常に不快な環境になる場合があります。第3種換気セントラルシステムでは、給気孔付近にエアコンを設置して効率よく除湿させることが設計の工夫により可能です。冬季の冷気の問題は、給気孔の配置と熱源器の関係をうまく設計することにより解決しています。お客様からのフィードバックを活かすことにより満足度を高めて高評価を受けております。

長くなったので今回はここまで。(笑)